FAXDMの反応率は0.1%〜0.3%が平均です。1,000件送って1~3件であることから、よく千三つ・センミツと言われます。
しかし、反応率はどのようにFAXDMを実施するかで大きく変動します。
何の戦略もなく闇雲にFAXDMを送っていては、反応率が平均を下回ってしまうどころか、全く反応が得られないこともめずらしくありません。
反応率を高め、費用対効果を上げていくためには、これから挙げる5つのポイントを意識してFAXDMをおこなうことが重要です。上手くヒットすれば、平均の何倍もの反応を獲得することも夢ではありません。
目次
1. ターゲット 〜誰に宛てたFAXDM?〜
FAXDMは相手(ターゲット)に直接アプローチできる手段ですが、そのぶんターゲットのことをしっかりと見極める必要があります。
FAXDMを届ける相手 = 一人の人間のイメージを具体的に想像することが重要です。
初歩的なところで言えば、「営業担当者」宛てなのか「営業部長」宛てなのか、はたまた「社長(代表)」宛てなのかといったところです。「メーカー宛てにFAXを送りたい」といっても、そのFAXを受け取って読むのはメーカーに勤めている“人”なのです。どんな人に読んでもらいたいのか、読んでくれる人はどんな人なのかを考えましょう。
例えば、デートに誘うメッセージを送るとき、送る相手やメッセージの内容は何でもいいわけではありませんよね。「どのような相手(ターゲット)に、どのような切り口(言い方など)で、思い(商品やサービスの魅力)を伝えるか」が重要になってきます。
身体を動かすのが好きな相手を映画館に誘うのは適切でしょうか。映画館に誘うなら、普段から流行りの映画を話題にしている人や、映画の内容がアニメならばアニメ好きの人を誘ったほうが成功する可能性は高いでしょう。どうしても身体を動かすのが好きな相手を誘いたいのであれば、その人が興味を持ちそうな切り口にする必要があります。観る映画をスポーツ関連のものにするとか、「映画を見終わったら、バッティングセンターで汗を流そう」とセットで提案するとか、あれこれ工夫を凝らすのです。
既に販売実績のある商品・サービスなら、今までに購入してくれた人がどのような性質の人なのかを分析することもターゲット選定の参考になります。同じようなターゲットにアプローチすることで効果が見込めるでしょう。
まだ販売実績がない場合は、「どのような相手なら買ってくれそうか」「どのような悩みを抱えた相手の手助けができるか」のしっかりとした仮説を立てて、テストを繰り返しながらターゲットを見極めていきましょう。
2. リスト 〜ターゲットに合わせて収集する〜
ターゲットを設定したら、そのターゲットに該当するリストを集めましょう。
リストをどこから収集するかは、いくつかバリエーションがあります。
- 電話帳
- Webサイト
- 企業情報書籍
- 展示会やセミナー、商談などで交換した名刺
- 資料請求や問い合わせを受けて獲得した情報
- 所有している顧客情報 etc…
FAXDMで効果を見込むにはある程度のリスト件数が必要(後述)ですが、FAX番号のリストを何千〜何万件も収集するのは、手作業では至難の業です。
そこで、リストの提供もおこなっているFAXDM業者を利用するのは一つの手でしょう。
FAXDM業者が提供しているリストの大半は業種と地域で絞り込むことができます。(ものによっては従業員数や資本金、設立年などの企業情報でも絞り込める場合もあります)
件数を確保するためにもあまり細かく絞り込みすぎずに業種・地域(必要であればプラスアルファ)あたりを落とし所にするとよいでしょう。
FAXDM業者の用意するリストを使用する場合、以下の2点に注意してください。
- リストの収集元はどこなのか
- 定期的にクリーニングされているか
(データが古いと不達率が高まり、宛先間違いなどによるクレームも増加します)
3. 原稿 〜何をどのように伝えるか〜
設定したターゲットに合わせて、原稿を作成していきます。
デートに誘うとき、相手に合わせて送るメッセージを考えるのと同じです。
ここで重要なのは、「始めから売ろうとしない」ことです。いきなり「付き合ってください」と告白するのではなく、何度かデートを重ねた上で交際に発展するのと同様に、始めはのちのち購入してもらうためのきっかけ作り(いわゆるリード獲得)に徹しましょう。
①まずは切り口を決める
どのような切り口で商品・サービスを宣伝するのか、綿密に検討することをおすすめします。
詳しい説明を受けないとわからない新商材や、コンサルティングや専門サービスなどの形のない商材、価格が数十~数百万円といった高価格帯の商材の場合は、知らない会社からFAXDMで案内されてもお問合せを得ることは難しいので、直接商品を宣伝するような内容ではなく、お役立ちセミナーへの集客や無料相談などといった切り口が適しているでしょう。
価格が比較的安価だったり、商品がはっきりしていたりする(果物や食品など)場合は、FAXDMから直接注文を促す内容でも良いですが、より多くの反応を得るためには、まずは商材に関連した小冊子やサンプルをプレゼント(出来るだけ無料で)という切り口で送るとよいでしょう。一見遠回りのように思えますが、その後のフォロー次第で差が歴然と表れてきます。
②ターゲット像を意識して文章を書く
設定したターゲットのことを想像し、どのような文章であれば響くのかを考えることが重要になってきます。このとき、設定したターゲットの人物像が鮮明であればあるほど、文章を作成する手がかりが増えます。
大抵、ターゲットのことをよく考えずに「自分たちの商品はここが凄いですよ」といった一方的な宣伝や、「セミナーを開催するので来てください」といった単なる告知に過ぎない文章を書いてしまい、反応が得られないケースがほとんどです。
もちろん、ターゲットによってはそういった内容のほうが適切な場合もあります。つまり、どんな内容が響くかはターゲット次第なので、「常にターゲット目線から考える」、この考えが基本となります。
③原稿が出来たら、まずは自分宛てにテスト送信
原稿が出来上がったら、まずは自分宛てにテスト送信をしましょう。
その結果を見て、以下の点を確認してください。
原稿の一部(特に端)が切れていないか
用紙の端までいっぱいいっぱいに要素を詰め込むと、切れてしまう可能性があります。受け取る側は原稿が切れている時点で読む気が失せてしまいますので、正しく収まっているか確認してください。
文字が小さかったり細すぎたりして掠れていないか
掠れて読めない状態では全く意味がありません。
文字サイズは最低でも10pt以上で作成してください。フォントは、文章は明朝体、見出しなど強調したい部分はゴシック体を推奨します。
グレーを多用しているなどで見えにくくなっていないか
FAXは白黒で出力されるため、中間色であるグレー(灰色)を使用している部分は薄くなってしまうことがあります。なるべく白と黒のみでレイアウトすることをおすすめします。
4. タイミング 〜時期・曜日・時間帯〜
FAXDMは時間を指定して送ることができる点が強みです。
「時期」「曜日」「時間帯」の組み合わせをいくつかテストし、一番効果が高まるタイミングを見極めましょう。
①時期
特に季節や行事に関連する商材の場合は、需要が一番高まっている時期に合わせてFAXDMを送るのが効果的です。例えば、マスクの販促FAXであれば、風邪を引きやすい冬だったり、インフルエンザが流行し始めたタイミングだったりで送るといった感じです。
また、一般的に忙しくなりやすい月初や月末は避けるのが無難です。
②曜日
忙しい曜日・暇な曜日がある程度はっきりしている業種宛てであれば、暇な曜日を狙ってFAXDMを送るのが効果的です。
忙しい日に送っても読まれないことが多いですし、クレームにも繋がりやすくなります。
はっきりしていない場合は、休みの曜日(一般的には土日)、休み明けの曜日(一般的には月曜日)、次の日が休みである曜日(一般的には金曜日)は避けたほうがよいでしょう。
例えば、配信先の業種が「不動産業」の場合、水曜日が定休日である企業が多いため、水曜日・木曜日・火曜日に配信することはおすすめしません。
③時間帯
忙しい時間帯は避けて配信したほうがFAXを読んでもらいやすくなります。
一般的な企業であれば、集中して仕事しているであろう14時〜16時あたりよりは、朝のルーティンが落ち着いた10時〜11時、昼食明けの13時などがおすすめです。
一方、飲食店であればランチタイムや夕食時など忙しくなりそうな時間帯は避けるのが鉄則です。
また、業種にかかわらず、早朝・深夜の配信は避けるのが賢明です。個人事業主に多いですが、電話とFAXが複合されている場合、特にクレームに繋がりやすくなります。常識的なビジネスタイムの範疇を守りましょう。
5. オファー 〜反応率を左右する奥の手〜
FAXDMを受け取った側にとって利益があるかどうかは反応率を大きく左右します。
何のメリットもない単なる宣伝DMよりは、クーポンがついていたり、FAX限定のディスカウントがあったりと、いかに「このFAXを受け取って得した」と思わせられるかが重要です。
魅力的なオファーが用意できれば、多少他の部分が拙くてもそれなりの反応は得られます。
しかし、反応の数じゃなく“質”を高めるには、上記で述べたことをしっかり考えておこなっていくことが大切なので、無闇にオファーだけを盛らずに、全体での戦略を立てましょう。(そうでないと、オファーだけを受け取ってそのまま逃げられてしまいます…)
参考:FAXDMにおけるオファーの重要性|反応率を上げるオファーの作り方
まとめ:最初から完璧なFAXDMはできない。PDCAを繰り返す。
上記の5つのポイントについて熟考し、FAXDMを実施することが成功への近道です。しかし、最初から上手くいくようなものではありません。戦略を立て、実行し、振り返って、修正するというサイクル(PDCA)を繰り返していくうちに、成功パターンを発見できるのです。
テストをおこなう際は、2,000件程度でいくつものパターンを試すとよいでしょう。FAXDMの平均反応率は0.1%〜0.3%であるため、件数が少なすぎると反応が得られるかどうかも分からず、実用性のあるデータが集まらないため正しい分析ができません。
成功するためには、諦めずに継続することが大切です。これはFAXDMに限らず、マーケティングにおけるありとあらゆる手段に当てはまります。
FAXDMは比較的低コストであるため、PDCAを回しやすい手段です。その長所を存分に活かして、PDCAをどんどん回し、どんどん反応率を高めていきましょう。